9章 狂喜の神

9―1*物思い

2015年 美術館

ドラマンは病気に感染はしていないようだった。
今、美術館の名残の建物を拠点として、 マリが情報を集めていた。NO.999は多くの部下を持っている女王の親衛隊長だったから、 彼に見付かるわけにはいかなかった。 ドラマンは石の机に肘をつき、4つ取っ手の壷の横でクレタの三脚釜を眺めながら、物思 いに沈んでいた。
時間航行船で持込んだものかも知れなかった。 中世の両手用の長剣は良く切れ、重く、貴金属の混入のため輝いていた。 しかし、レ―ザ―ソ―ドに対抗できるとはとても思えなかった。
両手用の長剣より、レ―ザ―ソ―ドは軽いし振り回せる。 刃は交えたらおそらく両手用の長剣はすさまじく傷むだろう。

9−2*時間航行船発見

マリが帰ってきた。 ドラマンは、直ぐ彼女がつけられてたことに気付いた。
『この場所は危険だ。マリ、すぐ出よう。』 急いで建物を離れながら、ドラマンは手掛かりがあったことを確認した。 新しく発見された時間航行船が今晩、武装集団のボスである貴族のもとへ空輸されるらし い。
二人は空港へ向かった。

9―3*神

空港までは女王から奪った馬に乗って2時間ほどで到着した。
空港の滑走路で何かアトラクションが行われていた。 プラズマをまきちらす緑の直径4メ一トルの水晶球になにか人の顔が映っていた。 じつは、顔の老人が水晶球を使って未来に行こうとしていたのだ。
中の顔が消えてしまうとその周りにいる兵士たちの姿がはっきりわかるようになってきた。
仮面とレ―ザ一ソ一ドの兵士が3人、おそらくこの時代の蹴り技をみにつけている拳銃を もった兵士が4人だ。 のこる2人の作業員は水晶球を台車ごとビジネス機の格納庫に積み込み始めた。
しばらく待つと兵士たちが持ち場にもどり始めた。
ドラマンはマリを待たせといて、死角をつきながらコンテナのあいだをするする抜けて走 り出した。 出会い頭、兵士を突き飛ばしてひっくり返し、気付いたもう1人の兵士に奪ったレ―ザ ソ一ドを放り投げ、仮面ごと首をとばした。 周囲から5人の兵士が集まり出す。
ドラマンは方角をかえ、意表をついてビジネス機の格納庫に滑り込んで、扉をしめるボタ ンを押した。 作業員は機を発進させる際中だった。
『なにか起きたのか?』 聞く作業員兼パイロットにたいし、 ドラマンは兵士の声をまねして言った。 『なんでもない。すぐに出してくれ。』 機は空港を離陸した。

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