7章 狂喜の舞
7―1*狂喜の舞
2015年 ビル街
都市であるにもかかわらず、ここには文明のかたちなどみじんもなかった。
大火の前で50名程度の乞食がダンスしていた。
周囲から追剥ぎが集まって集会を行っている。
『スリーナイン、こいつはすぐサラにかかるぜ。』
サラというのは、この時代特有の不治の病らしい。
『いい気味さ。』
ドラマンは、死にかけていた。希望もなにもあったもんじゃなかった。
後ろをむくと、乞食がナイフをなめてよだれを垂らしながらこっちを見てた。
これが、人類のはてだった。時間を行き来して歴史を狂気に追いやり、本当は惑星間
に宇宙船の航路を持っているはずが、地球のわずかいくつかの廃嘘にわずかな人間が
伝染病におびやかされながら生き残るのみなのだ。
7−2*女王
2015年 ビル街
突然、 ドラが鳴り響いて馬に引かれた青銅の戦車が入ってきた。
錫を振り上げて、革のミニスカ、ブ―ツ、を着こなした脚の筋の張った肩の盛り上がっ
た女がすたっと飛び下りた。
『新しい遺伝子に幸あれ。』 『幸あれ。』女に乞食衆が連呼した。
ドラマンの手首をしっかり握るその手は意外に握力があった。
『じょ、女王さま。』やせたホームズが言った。
戦車はドラマンと女王をのせ引き返して出ていく。
7―3*ハ―レム
2015年 ビル街
裸になって目覚めた。
ドラマンはレ―スの引かれた、大きいベッドにいた。あれからすごい不動産の建築物に戦
車は人っていったのだが、陰には緑に腐食した亡骸が山積みになってた。
『なぜあの女は病気にならないんだ?』
ドラマンはシブイ顔をした。
それを聞くと黒人兵がわらって『女王はサラにはかからない。』
『彼女は唯一病気の人間を相手にできる神なんだ。男なら、ゴホッ』
ドラマンは未知の恐怖を感じた。命しらずの彼が怯えていた。
そして――−
女王がゆっくり近寄ってきた。 ドラマンは恐怖と恍惚のなか耐えられなくなってしまった。
得意の腹式呼吸も気持ちを押さえてはくれない。
7一4*気と生命力
ドラマンは相手を快楽の対象と決めて掛かることにした。気合いで直立させた。
女王は厚い生地を自分で肩から両手で引き裂いた。
歯をむきだして女王はひざで跳ね寄り、不動のものを革をずらして入れた。
ドラマンは気血をまわしながら女の中へ弧を描くよう気を挿入した。
躍動する原始の力を持つ女は全身でもがいた。
ドラマンのものは何度もしごかれ、その都度、気を回帰するよう調節した。
しかし、 ドラマンの年にこれは刺激が強すぎた――
二回目は身を起こしたドラマンに女は蟹ばさみをかけるように一瞬で挿入した。
ミニスカはすでに破れて垂れ下がってた。
バックであるはずなのに脚を吸い付けてリ―ドするのは女だった。
接合の巧妙な感覚で倒れそうなドラマンが揺れながら直立していた。
身体は燃えるような感覚がした。 波のような前後運動でまたしてもすいとられた。
そのまま、しなれさせないで女は三回目を始めた。女の体は海老のように逆立ちし
ドラマンは離れられずよろよろ女を跨いで前進した。
躍動する海老、女は金切り声で吠えた。蜂蜜が女の上から流れた。
7―5*逃走
ドラマンは痙攣する女王から二メ―トル離れた地点に投げ出されていた。
女王は一体何者なんだ。本気でドラマンは考え始めていた。
女王が叫んだ。 『水牛をもて』 担架が来た。牛の胴体だった。
女王は顔を輝かせると、骨をもぎながら噛み付きしゃぶりっくようにしてどんどん食べて
いく。 はやい。時間が、無駄がない。まてよ―時間?
ドラマンははっとした。女王はタイムワ―プで2015年に来た原始人なんだ。
でもなぜ女王は未来人の子孫をつくる役目を担ってるんだ?
食べ終わった女王はこっちを見て目をぎらぎらさせだした。
ドラマンはシ―ツを掴んで窓から飛び出した。