6章 敵地潜入
6−1*NO.999
2015年 ビル街
ここは、どこだろう。突然、スラムのなかに現れてドラマンはとまどった。
目の前をゴミをひきずった乞食が歩いて…まてよ、あれはホームズだ!
声をかけようとしたら周囲から追剥ぎが集まってきてしまった。
『スリーナイン、こいつおまえに気があるらしいぜ。』
ホ―ムズは答え、眼帯をつけて唾を吐いた。
『古い友達さ。殺っちまいな。』
ドラマンは、つかみにきたノッポのその手をひねると、しめあげてノッポの前へでた。
『ひゅいーいっ』足をひいて前に引き倒すと、ノッポの手首は砕けた。
後ろをむくと、新手がフェイントをまじえてパンチを放ってきた。
これが、ボクサーのものなら十分に恐れて良かった。だが、こいつは油断していた。
ドラマンは、フェイントのパンチをはたき、近寄ったパンチを肩につけ、かえすように
反対の手で補助してへし折った。
格段の実力の差であった。
最後にホームズが凶器をもってむかってきた。
ナイフが振り上げられた瞬間、ドラマンの両チョップがすいこまれるようにホームズの顔
面にはいり、すべりおりた両手はナイフの手首をしっかり握ると、 ドラマンはその手をく
ぐってからナイフを取りあげた。
『こ…降参だ。』やせたホームズがうめいた。
6―2*サイコ・クラッシャ−の正体
2015年 ビル街
ドラマンはNO.999を狭い路地にひっぱっていって、尋問した。
どうしても聞きたい
ことがドラマンには山ほどあったo
『俺の手足となって働いてくれるはずのホームズがなぜ俺を殺そうとする?』
ホ一ムズは腐った顔をした。
『おまえはもう用済みなんだ。』
それを聞くとドラマンはNO.999をなんども壁におしつけた。
ホームズは口から血をふきながら叫んだ。
『夢は終わったんだ!人間が自分たちの力で歴史を変えるなんて、ゴホッ』
ドラマンはNO.999から手を離すと路地の真ん中に立って空を見上げた。
何のためここまで努力してきたのだろうと考えると涙がアスファルトに2、3滴落ちた。