ある小鳥の物語


-----この小説をMiss Fにささぐ-----


小鳥はある飼い主のもとに生まれました。

小鳥は生まれながら、声がカン高く、アレルギーで皮膚を傷つけていました。
飼い主はいいました。「この子は大鷲にも育つ素質をもっているのに、声と アレルギーで大きくなれないんだ。」
そのうち飼い主は心が離れ、小鳥はカゴの水をもらえなくなりました。
太陽が照り付けてきます。小鳥は羽をバタバタやって草の上をころげまわる ようになりました。
飼い主は化学飼料を買ってきて与えました。
ところが、そのえさは、小鳥の自律神経を狂わせ、小鳥は動けなくなりました。
小鳥には秘められたエネルギーがあったのにえさは押え込んでしまったのです。

「この子は寝てばっかりで運動しない。もう放っとこう。」
そして飼い主はえさと敷き草だけかえてあとはTVをみるようになりました。
小鳥はしばらくしてえさがないと、自分が死にいたるよう身体がなってしまった ことに気が付きました。
食べなければ、身体が硬直し、動けなくなるのです!
小鳥はカゴに体当たりを繰り返すようになりました。
最後の抵抗をしていました。身体はキズだらけになりました。

そんなある日、小鳥は変わっていきました。
毛は他の小鳥とちがって青い光彩を放ち、頭の羽飾りは誰よりも気高く、 くちばしは反撃できるように鋭く頑丈に、足はどんなさばきもかけられるように しなやかで強く、そして羽は冥界へ飛び立てるようになりました。
先祖の霊がのりうっつたのでしょうか。

小鳥はたまにカゴを冥界の羽で抜け出し、針を打ってくれる親切な先生の所へ 着地し、えさでバランスの崩れた内臓を修復してもらいました。
それから、元気になってカゴからぬけだして旅するようになりました。
山の森はおじいさんに聞いた山とはもうちがいました。
木はすべて植林された杉でした。
化学飼料の毒をぬく望みは消えたかと思われました。
虫を食べれば・・・必死で大地を鋭い目で探すと、ごくわずかに虫が生きていることが わかりました。
地中にでてきた虫をすばやく着地し食べることにより毒はよわまりました。
「いつまで生きられるだろうか・・」

なんども危ない目にあいながら、旅を続けます。
ある日、みたこともない巨大な鷲があらわれました。
頭には白い”i”の紋章がついていました。
二人はしばらくホバリングでにらみ合いました。
大鷲はいいました。「お前は、霊の世界をしってるな!おれはお前を引き裂き 部下の鷲に分けて食わせお前の秘密をてにいれてやる。」
小鳥は死を覚悟し、同時に捨て身で体当たりをしていました。
そして、冥界の翼ですり抜けました。
”i”はあっけにとられ邪心をなくしてまっすぐに飛んでゆきました。

小鳥は致命傷を負っていました。
「いずれあの鷲は、部下をつかって俺達小鳥を滅ぼしにくる。だけど、俺も・・」
実のなる木の林がみえてきたのでそこで休みました。
でも人間の流す汚水を吸った木の実は食べる気がしません。
傷ついた羽で木から木へわたり歩く旅がはじまりました。
ある日小さなさくらんぼの木を偶然みつけました。
とても気にいってしまい二つなってるさくらんぼの一つをたべました。
それ以来、飼い主のカゴとその遠くはなれたさくらんぼの間の往復が始まりました。
キズは徐々に癒えてきました。
さくらんぼも実を三つ、四つとつくようになりました。
そのうち、小鳥は他の小鳥にまじって杉にとまるふりができるようになりました。

小鳥はなぜさくらんぼが赤いきれいな実をつけられるのか知りたくなりました。
小鳥はカゴの材料で青いさくらんぼならつくることができました。
いまでは、旅の途中で拾ったプレゼントをさくらんぼの木の根元にお礼として おいてくようになってました。
小鳥は青いさくらんぼを草で赤いさくらんぼのとなりにつるしたくなりました。
ところが、青いさくらんぼを持ってさくらんぼの木の元へ飛んでゆくと、 木こりがうろついていました。
小鳥はさくらんぼが金のオーラを抑えてくれるよう念じました!
木こりはしばらくすると、斧をかついで去ってゆきました。
小鳥は自分がヒントにならないように急いでその場を飛び去りました。
涙をこらえながら・・・

小鳥はりんごの木の元で一休みしました。
大変きれいな木でした。
小鳥はこころうばわれてしまいました。

------小鳥はアダムが現れ、実を食べ、楽園を奪われる夢をみていました。
その時!!突然夢に黄金の鷲が現れました。
鷲はアダムがはりつけになったその後をも、アダムの肝臓を 生きながらつついていました。ああ!!
小鳥は夢に入り込み、鷲を追いかけました!その時!
鷲が仲間を呼び寄せたのです。----------------------------------

小鳥は苦悶のうめきをあげ、夢から目覚めました!
暗い夕日の中、 小鳥は身悶えて、池の泥の中に横たわっていました。
そして、寸分の間も与えずに!!

何万もの羽音がざわめき、周囲が闇につつまれました。
大鷲の大群が闇と化していました。
小鳥を池の中へじりじり追い込まれました。
溺れさせ殺す気です。手もださずに!
大鷲の大群と”i”はどんどん包囲をせばめてきます。
小鳥には池にうつった”i”の影が見えました。
夢で見た黄金の鷲でした。
それが、すべての鷲を狂闘にかりたてているのです。
小鳥は冥界の翼で池へと飛び込みました!
光も時をも超えていました。
小鳥に鷲はしがみついてきました。
しかし、小鳥は構わず、鷲の中心の粒子に当たり、周りを取り囲んでいる 電子を拡散させました!
小鳥は自分もちりぢりにとんで消える覚悟でした。

★小鳥は空間も時も超えました。★

次の瞬間オレンジの朝日に向かって海の上を飛んでいました。
大鷲の闇は消えていました、、、、
全てが正され、未来への道が開けた日でした。

小鳥はある島に降り立ちました。
宮殿が建っています。ところが、降りたとたんカスミ網のようなもの にかかって身動きとれなくなりました。
まわりから、汚いアラブ人が集まってきました。
「こいつはやせてやがる。しかし、きれいだな。剥製にして 王に売り渡そう。」
小鳥は身の詰まってくるのを感じました。
4人はだんだんと手をのばしてきます!

「おい!!そいつはきれいだ。お前らにはもったいない。
おれがいただくぜっ!!」
高らかな豪笑とともに、身の丈2.5メートルの蛮人が現れました。
「なんだと〜、こいつが来て食料の鷲が取れなくなった。こいつは 疫病神にちがいない。だから、剥製にするんだ。下衆はひっこんでろ!」

また高らかな豪笑!!

「こいつ・・」
「やっちまおうぜ!こんなやつ!」

「のぞむところだ!!ハッ!」

蛮人のウォーリアーはバーサークして突っ込んできました。
あしもとには小鳥がとらえられています。
アラブ人たちは彼の周囲にサーッと回り込みました。
身長は1mほどの4人なのですが、ベルトの短剣と小剣を同時に抜く様は危険を感じさせました。
しかし、高らかな豪笑!

蛮人は、それにあわせ、少しずつ間合いをとりました。
短剣が、2本、1本と放たれ、蛮人は巨大な戦斧を同時に振り回しました。
まるで気にもとめずに!?
血しぶきが5本飛びました。
アラブ人たちはボロボロ腐れ落ちます?
残りは蛮人が立っているはずでしたが!?

しかし、アラブ人は”腐れ”となって醜く前進をはじめたのです。
小鳥は冥界の翼で抜けようとしました。
しかし、空から、透明の鷲が舞い下り、わしづかみにしました。
”もうだめだ”
そう思ったときです。
遠くに人影がいました。
と、思うと、目の前に固体化して、消えていました!!

それは、元気そうな老婆でした。
パッと両手をあげると、腰の手斧が空中を飛び、旋回して”腐れ”の 手首を全て切断しました。
次は手を旋回させました。
すると、”腐れ”は手首のない肉体に戻っていきました。
「Thanks!!今だ!!」
蛮人の戦斧はアラブ人をなぎたおし、首をとばし、血しぶきが
喉から吹き出しました。
巨人は戦場で立ちすくんでいました。

小鳥が肩にとまりました。そして、老婆を見ました。
蛮人「このかたは、おしでな。。それでも偉大な力をもった魔女なのだ。」
小鳥は蛮人の左手に飛び降りました。
蛮人「小鳥よ、お前の美しさをかたちどるものは、いったい何だ?」
小鳥は大変かなしそうな眼をしました。
それを見ていると、巨人の身体を涙がひとしずく地面に落ちました。
小鳥はたったひとつの青いさくらんぼを蛮人の手にあずけました。
蛮人「これが、俺たちへの礼儀なのか。。よし、飛んでゆくがよい。もうなに にもとらわれるな!自由に生きろ!」
小鳥は島を離れて飛び立ちました。

小鳥はいつしか、ある大きなものへ仕えることを望みました。
それは、自分が男であることをあげるためでした。
少女のようにいつまでもワガママであってはならない。
しかし、その主は大きくても”i”であってはならないのです。

小鳥は自分の主を求め何万キロも旅しました。
しかし、もとめるものはいっこうにみつかりません。
食料にもことかき、小鳥はあせり、りんごの木のふもとに何度もたちよって しまいました。
しかし、この木はつくせばつくすほど、悲しさを教えてくれるのでした。
小鳥は何度か気も狂わんばかりにおめきました。

とうとう、小鳥は自分を必要以上に低く見積もることの愚かさに気付いたの でした。

”i”との戦いは秘密にしよう。しかし、これが必ず、主のもとへ導いてく れるはずだ。
小鳥は静かな沼を澄んだ眼でみつめました。
朝のアクア色をした沼に浮かんだ陰をみました。
小鳥は水の中へ飛び込みました。
小鳥は沼の中で不思議と呼吸してました。
またもや小鳥は別次元に導かれたのです。
そこは夜昼ともなく暖かく永くい ると小鳥は時間感覚の神経をやられました。
水中花が咲いていて、ここで小鳥は自分はなんと言う世界に生きているのだ ろうかとなぜかうぬぼれました。
しかし、うぬぼれが自分をだめにしていることに半年で気付きました。
半年も沼のなかに!!小鳥は沼からロケットが飛び立つようにとびでました。

沼は半年の間に大きくなっていました。小鳥は夕暮れの中にアクアの自分の影が 飛んでいるのを眼の隅で飛び去りながら追っていました。

小鳥は途中、養鶏場をみつけました。養鶏場に一匹のヒヨコをみました。
それはどこか自分の影に似ていました。
小鳥は養鶏場にはばたき降りました。
変ではありましたが、ヒヨコは小鳥についてきます。
こんな傷ついた自分になついてくれるとは・・小鳥は呆然としましたが しばらくして、きっと、いい卵をつくる鳥になるにちがいないと考えました。
小鳥は自分の生き方を学んでほしい、とヒヨコに願いました。
飛びすさるまえにヒヨコはやってきた鶏にいじめられました。
小鳥は養鶏場を三回まわり冥界どころか論理界にまで入って養鶏場を ひっくり返しました。

いまや耳を使って論理界にまで入れるようになってました。
この世界がどう変わっても、それは歴史として小鳥は生きるつもりでした。

小鳥が久々にカゴに帰ってみると、飼い主は冷たく小鳥にあたりました。
小鳥は怒って、一瞬だけ判断を迷いました。
飼い主の手をそれてステンレスの水受けにひっかけて利き脚のけずめ の骨を折ってしまいました。
本心小鳥は飼い主に傷をつけたくなかったのです。
小鳥は養鶏場に行けなくなりました。

小鳥は動物の医者に治療してもらいましたが、実はヒヨコとある周波数 の声で連絡してました。

「ヒヨコよヒヨコ。お前は今どうしている?」
しかし、小鳥は論理界をひっくり返しながら自分の中は静かでした。
「そこがだめでも、次の養鶏場で卵を産めばいいさ・・」
一時はそう言いました。
ヒヨコは養鶏場を捨てきれないようです。

「ヒヨコよ。養鶏場は増えすぎ、政府は方針を変えずにまた増やしつづける ・・そうなれば、養鶏場の鳥はみんな死んでしまう・・」
「まだわからないのか・・夢は終わったんだ。友達を捨て抜け出してミミズを 探さないと今に!」
ヒヨコは連絡を絶ちました。心配しても手遅れでした。

ああ、イメージに愛があっても現実の言動は相手を壊してしまう・・
しかし、忘却界には行きたくないし、神の国がやってくるなんて夢に逃げる なんて現実には生きられないもののすることだ。

小鳥はヒヨコの可愛かった姿を思いだしましていました。
はじめて手に入った愛情だけに苦しいのでした。

それから、三年がたちました。
主は幾日たっても見つかりません。

小鳥がある日枝で眠っていた時でした。
輝く紅の長い尾をひいた鳥が付近を通過しました。
小鳥も追いかけて飛びました。
紅の鳥は流れるようにスピーチしました。
「主はいないわ。あなたはそれを越えたのだから!あなたの魂は立派に小鳥 の生をまっとうした・・あなたはよくがんばった。霊界へ飛び立つ時がきたのよ。」

小鳥と紅の鳥は夕陽の雲の間の光にすいこまれていきました。
小鳥は意識だけでもう身体を失っていました。
声が天から聞こえてきます。
「今、人間界は戦争や愚者であふれている。お前を人間に生まれ変わらせ て人間界に送りだす。よく修練した。お前の魂は鳥でも有数のものだ。 次の生までここ、霊界で休養せよ。」

小鳥は人間界に生まれ変わって能力を発揮する運命を天に 与えられたのです。
小鳥は白く白く輝く霊体に変わっていました。
もしこれから小鳥を思いだすものがある時、縁あるものならばは見るであろう。
青い空の向こうに光となった鳥の影を。
<<完>>



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