はじめて手に入った愛情だけに苦しいのでした。
それから、三年がたちました。
主は幾日たっても見つかりません。
小鳥がある日枝で眠っていた時でした。
輝く紅の長い尾をひいた鳥が付近を通過しました。
小鳥も追いかけて飛びました。
紅の鳥は流れるようにスピーチしました。
「主はいないわ。あなたはそれを越えたのだから!あなたの魂は立派に小鳥
の生をまっとうした・・あなたはよくがんばった。霊界へ飛び立つ時がきたのよ。」
小鳥と紅の鳥は夕陽の雲の間の光にすいこまれていきました。
小鳥は意識だけでもう身体を失っていました。
声が天から聞こえてきます。
「今、人間界は戦争や愚者であふれている。お前を人間に生まれ変わらせ
て人間界に送りだす。よく修練した。お前の魂は鳥でも有数のものだ。
次の生までここ、霊界で休養せよ。」
小鳥は人間界に生まれ変わって能力を発揮する運命を天に
与えられたのです。
小鳥は白く白く輝く霊体に変わっていました。
もしこれから小鳥を思いだすものがある時、縁あるものならばは見るであろう。
青い空の向こうに光となった鳥の影を。
<<完>>